お と ぎ ば な し の も の が た り

ここから近く、けれど遠い…どこかの世界。そこには朝の国と夜の国が存在する。
名前通り朝の国はずっと明るいままで、カボチャがよく採れる。
反対に夜の国はずっと暗いままでコウモリ達が街中に潜んでいる。

2つの国は仲が悪く、行き来をすることは許されていない。
けれど険悪な仲なのは王家同士だけで国民達はそうではなかった。

そんな関係は何百年も続いていたが、
いがみ合う国と国は年に一度だけ国交を復興させて盛大なお祭りを開催する。

そ れ は ハ ロ ウ ィ ン パ ー テ ィ 。

国民全員がおもいおもいの仮装をして街を歩く。
吸血鬼が空を舞い踊る。
赤目の黒猫が歩き回る。
子供達はカボチャに顔を彫って灯火を中に入れ、お菓子をもらい歩く。
楽しい、楽しい、お祭り騒ぎ。

そしてそんな日に語り継がれている伝説…。
それは『ハロウィンの日には大きな力が甦る』というもの。

死んだ人の生まれ変わりを見つけられれば、
ハロウィンの力を借りて生まれ変わりの魂と引き換えに死んだ者を蘇らせれる
、と。

しかしその世界には生まれ変わりを見つける術などなかった。
だから、誰もが嘲笑う。

「そんなの結局はただの夢物語だよな」

そして今年もまた、Hallow'enのパーティが始まった ――